やきもの修理映画 初恋のきた道

ビデオで『初恋のきた道』を見ました。
中国映画 チャンイーモウ監督

山の村の小学校の先生に恋をする少女。
小学校の建物は村のオトコがみんなで建てる。
その昼ごはんは各戸から鉢に入れ茶碗でフタをして届ける。
建築の仕事場にオンナは近付けない。

少女の届ける昼ごはんは大ぶりの染め付けの鉢。
若いその先生がその鉢をえらんでくれることをひたすら祈る。

ひとときの別れがおとずれる、後を追い丘を走る少女。
キノコ餃子を手渡そうとしてその鉢を割ってしまう。

村にせともの修理がやってくる。
天びん棒に荷をかつぎ「せともののしゅーりー」と呼ばわる。
少女の母が呼び入れる。

「これなら修理するより買ったほうが安いよ」
「娘のためなのさ
 その鉢を使った人が娘の心を持って行ってしまった
 せめてもの思い出にお椀だけでも残してやろうと」
「なるほどな 
 だったらしっかりと修理しておこう
 きれいな思い出になるようにな」

3つに割れた鉢を独楽紐で縛り、
ちいさな弓の弦を巻き付けたキリを膝のうえで使う、
ヤットコで鎹(かすがい)を整え、
鉢に打ち込んで行く・・・・


割れた鉢 鎹でつがれて もとの形に
まずしい家の 食器の棚におかれた青い絵のある鉢

器はただの道具 なのに人はいろんな『思い』を仮託する
ともにその道具を使った人との思い出と記憶
そんなささいな記憶にこそ人の生がやどってる

そんなふうに ぼくはこの映画を見ました


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